後施工アンカーの問題点について

梅雨があけたのかはっきりしませんが、今年も暑い季節がやってきました

建設業においては全国的に塗装屋さんが梅雨の長雨に大打撃をうけたようです。

今日は後施工アンカーについてのお話しです。

ユニソンシャモティ
ユニソンシャモティ

↑こちらは補修前の化粧ブロック(ユニソンというメーカーのシャモティというブロックです)で内側からの破裂が確認できます。

錆てしまったアンカー
錆てしまったアンカー

 

どうやら今回のケースは後施工アンカーの錆による内側からの爆裂のようです。

流れとしてはこうです。

こちらは分譲地なので、造成した際に境界ブロックで区画整理をしました。

下から四段までです。

そこにこちらのお施主様が住宅を建築した際に、設計GLを境界ブロックより15cmほどに設定したようです。

(設計GLとは、住宅に接している部分の地盤の高さです。雨の排水や洪水等の水害を想定して道路より何十センチか上げるのが普通です。)

家の外周にもとから積んであるブロックより地盤を上に設定したわけですからブロックの高さを上げなければ盛り上げた土が雨等で外にこぼれてしまいます。

そこで同じ種類のブロックを1段増積みしたのですが、その時通常はセットアンカーというものを打ち込み、下のブロックと繋ぎあわせます。

しかしこのアンカーが問題なのです。

正式な工法ではありません。

基本的にブロックは、ベースコンクリートというブロックの土台になるコンクリートから一本の鉄筋で一番上のブロックまで通してあります。

ブロックを積む段数に依りますが、一本おきか全てのブロックに縦と横に鉄筋を通してブロック同士をとめるよう建築業界には規定があります。

ベースコンクリートの中にもハシゴ状に鉄筋を組みあわせ、その一部の鉄筋が一番上のブロックまで通ることによってベースコンクリートとすべてのブロックが一体となるのです。

つまり後からブロックを足すということはこのルールを守れないことになります。

鉄筋を通せないので横にも上にも後からはブロックを足せません。

二枚目の写真の錆ているアンカーを見ればわかるように後施工アンカーというのは5cmほど差しこんであるだけです。

新築当初こちらの外構工事をされた業者様は普通にアンカーを打ったと思いますが、垣根の根っこがブロックを押したようです

ブロック解体
ブロック解体

ブロックがあった所の形に沿って根っこがびっしりはえています。

根っこの力は強いので増積みした一番上のブロックだけ押してしまいます。

後施工アンカーは簡単に引っこ抜かれてしまうのでおそらく地中で長い間水分にさらされていたと思います。

すると二枚目の写真のように錆びます。

鉄は錆びると膨張します。

外側からの圧縮にはある程度強いブロックも内側からの膨張では簡単に破裂してしまいます。

要約すると「強度の低い箇所を樹木が影響を与えた」ことが原因です。

ただこのようなケースはエクステリア工事では発生してしまうことがたまにあります。

このブロックを施工された業者様が悪いのではなく、エクステリア工事では日本建築設計基準を守りづらいことがあるのです。

今回のケースで言えば、設計GL をブロックより上げるために区画整理してある境界ブロックを解体して1から積み直す費用を払うお施主様はあまりいないと思います。

代わりに強度を持たせた工法で工事するにしても決して安くは済まないことでしょう。

土地と住宅代を払った直後にエクステリア工事にそこまで固くなっても、その費用を払うのはお施主様です。

大切なのは全てお施主にお伝えすることだと思います。

当社では後施工アンカーはおすすめしておりませんが、どうしても必要であれば事前にデメリットを全て説明させていただいています。

ブロックの補修後
ブロック補修後

もとから入ってる鉄筋はなるべくそのままに、あらたに必要な鉄筋は追加して補修完了です。

新品なのでとても目立ちます

強度が必要ないものなら色合わせて補修することもできますが、土圧のかかるブロックでは積み直すしかありません。

今回の補修工事はエクステリア工事の一つの課題とも言えるケースでした。

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